10/10(土)、ミロコマチコさんに初めてお会いし、これまでのラボの活動と公募により集まった6種類のどうぶつたちにまつわるたくさんの物語を手に、ミロコさんと一緒に絵本をつくる作業が動き始めました。
まずは、ミロコさんが普段どんな風にどうぶつの絵を描いていらっしゃるかというお話から。子どもが見ても大人が見てもわくわくする、力強くて愉快で時には怖くも見えるミロコさんのどうぶつたち。不思議な魅力を持つ絵が生まれるまでの貴重なお話をお聞きしました。
ミロコさんの描く一匹一匹、一頭一頭の個性は、「いじわる」「ずる賢い」「気弱」など題材となるどうぶつたちそれぞれの性格を考えながら描くことで生まれるそうです。そして、野生動物が本来持っているはずの自然の中でたくましく生きていく厳しさを表すため、ミロコさんの描くどうぶつたちは鋭い目つきになることが多いそうです。ラボメンバーも、ミロコさんの絵の持つパワフルな生命力とどうぶつたちの個性的な魅力にあらためて感じ入りました。
ミロコさんがどうぶつを描くおもしろさを発見したのは、イメージしていたどうぶつの姿とほんとうのどうぶつの姿の違いに気づいたことからだそうです。私たちが持っているどうぶつのイメージには「まやかし」がある、とミロコさんは話しました。画面いっぱいに描かれたどうぶつたちの力強さや厳しさ、そしてたくましさが私たちをどきりとさせ、イメージとほんとうの姿の違いを気づかせてくれるのです。
ヘビを気持ち悪いと思ったり、クマを怖いと思ったり。普段間近でに出会うことのないどうぶつに対して、私たちはいつのまにか「こういうものだろう」と思い込んでしまっていることがあります。しかし、それは人間から見た視点で、どうぶつたちはそんなことはおかまいなしに生きています。人と野生動物の距離が近く、どうぶつたちにとっては山と街の境目など無いような山形・東北各地での体験談には、きっとまやかしのないどうぶつの姿が見つかるでしょう。
今回のラボの後半では、これから制作する絵本を観る人・読む人にイメージの変化を起こすという観点から、収集した物語の選抜を始めました。その中で共有した大切なポイントがいくつかありました。
まずは、意外性がありその物語を読むことで動物へのイメージが変わるようなこと。次に、物語に音があること。足音だったり、何かを食べる音だったりという要素が文章に加わることで、絵の世界と現実をつなげる言葉の力が発揮されます。
物語の終わり方も重要です。結末をあえて持たせないことで、その後の世界がどう進んでいくかを読んだ人が自由に想像できるような広がりがもたらされます。そして、人と動物の関係が表されていること。人と動物、双方の視点が見えるような物語こそ、私たちのイメージどおりではないほんとうのどうぶつの姿を身近に感じさせるでしょう。
本日選んだ物語を基に、これからミロコさんが絵本の下絵を描きます。どんなどうぶつたちが現れるか、胸が躍ります。
現在開催中の『よりみち3DAYS』の最終日10月12日には、ミロコさんが描くどうぶつたちの絵と、題材となる物語を紹介する「ミロコマチコと野生動物のはなし」をひかえています。
入場無料・申込不要です。みなさんふるってご参加ください!
「ミロコマチコと野生動物のはなし」
2015年10月12日[月・祝]14:00→16:00
山形まなび館 多目的ルーム
特設HP:mirocomachiko.tuad.ac.jp
『よりみち3DAYS』の詳細はこちら: http://www.tuad.ac.jp/2015/09/50779/