どうぶつにまつわるエピソードを聞かせてください ミロコマチコより

どうぶつにまつわるエピソードを聞かせてください ミロコマチコより

中山間地域の過疎化による狩猟圧の低下や、 森林生態系の変化などの諸要因によって、山形各地で、クマやカモシカなど山に棲む野生動物が、耕作廃棄地を抜け、街にその姿を見せるようになりました。森と生きる知恵を失いつつある私たちと、餌を求め街へ進出する獣たちとの共生は、地方都市がこれから直面していく困難な課題のひとつです。「ミロコマチコと野生動物のはなし」では、森と街の境でいま、実際に起こっている人と獣の物語を、絵本作家のミロコマチコさんが作品化していきます。 山と街、獣と人という2つの世界をつなぐ、誰も見たことがない、大きな立体絵本をつくるプロジェクトです。

中山間地域の過疎化による狩猟圧の低下や、 森林生態系の変化などの諸要因によって、山形各地で、クマやカモシカなど山に棲む野生動物が、耕作廃棄地を抜け、街にその姿を見せるようになりました。森と生きる知恵を失いつつある私たちと、餌を求め街へ進出する獣たちとの共生は、地方都市がこれから直面していく困難な課題のひとつです。「ミロコマチコと野生動物のはなし」では、森と街の境でいま、実際に起こっている人と獣の物語を、絵本作家のミロコマチコさんが作品化していきます。 山と街、獣と人という2つの世界をつなぐ、誰も見たことがない、大きな立体絵本をつくるプロジェクトです。

どうぶつにまつわるエピソードを聞かせてください ミロコマチコより

1. みんなで集めた119のエピソード

1. みんなで集めた119のエピソード

このウェブサイトに今日まで市民のみなさんから寄せられた動物エピソードの他、ミロコさんの山形での活動をサポートする市民サポーター「EHON LABO」メンバーが、南東北の各地でおこなったインタビュー取材によって、2015年12月まで119のエピソードが集まりました。ご協力くださったみなさま、ありがとうございました。ミロコマチコさんの立体絵本は、みなさんから寄せられたエピソードからつくられます。エピソードは現在も募集中です。

どうぶつにまつわるエピソードを聞かせてください ミロコマチコより

どうぶつにまつわるエピソードを聞かせてください ミロコマチコより

2. ミロコマチコさんとEHON LABO.

2. ミロコマチコさんとEHON LABO.

ミロコマチコ(画家、絵本作家)

ミロコマチコ(画家、絵本作家)

1981年、大阪府生まれ。個展・グループ展を全国各地で精力的に行い、伸びやかな作風で、動物や植物を生き生きと描き注目を集める。2012年、『オオカミがとぶひ』(イースト・プレス)で絵本デビュー。同作で2013年、第18回日本絵本賞大賞を受賞。他の絵本に『ぼくのふとんはうみでできている』(あかね書房)、『てつぞうはね』(ブロンズ新社)など。『オレときいろ』(WAVE出版)でブラティスラヴァ国際絵本原画展「金のりんご賞」受賞。他の著作に画文集『ホロホロチョウのよる』(港の人)、画集『けだらけ』(筑摩書房)など。

みちのおくつくるラボ3期 EHON LABO.

みちのおくつくるラボ3期 EHON LABO.

東北芸術工科大学は文化庁の助成を受けてコミュニティスクール「みちのおくつくるラボ」を2013年11月から開講しています。ラボではアーティストと市民が「みちのおくの芸術祭 山形ビエンナーレ」の公式プログラムを共同制作します。ミロコマチコさんの山形ビエンナーレ2016に向けた制作をサポートするEHON LABO.(絵本ラボ)は、安達奈緒子、荒川由衣、庄司亮一、高橋かおる、高橋美香、玉手りか、半澤青空、古田和子、伊藤迪子、是恒さくらの計10名です。

どうぶつにまつわるエピソードを聞かせてください ミロコマチコより

3. 報告「ミロコマチコの野生動物のはなし」より『カモシカ』

3. 報告「ミロコマチコの野生動物のはなし」より『カモシカ』

2015年10月15日、山形まなび館多目的ホールにて「ミロコマチコと野生動物のはなし」と題し、絵本制作の中間報告会を行いました。ミロコさんが描いた6種の動物の絵(イメージ画)とともに、市民から寄せられた6篇の動物エピソードと、それに対になる創作ストーリーを朗読するという「読み聞かせ」イベントでした。人間サイドの体験談は、野生動物に遭遇した驚きや緊張感が伝わってきます。動物サイドの物語は、その状況を動物側はどう受け止めていたのかをミロコさんが想像して創作しました。「ミロコマチコの動物のはなし」ではこのように、「人間」と「獣」の2つの視点から物語を表現していきます。現在制作中の立体絵本の本編中から、「カモシカ」のストーリーを抜粋してご紹介しましょう。

ミロコマチコ(画家、絵本作家)

「カモシカとの格闘」
おはなし:菅野守さん(山形市土坂地区)
聞き書き:高橋かおる

今から25年前の秋。桜田山に家内と犬連れてキノコ狩りに行ったけのよ。この時期に採れるサクラモダシはこりこりしていてうめぇんだ。当時、飼っていた犬はポインターで体長1mあるおっきな気の強いメスだった。その犬がワンワン、ワンワン激しく吠えっから、何かあったんだかと。そしたらなんとカモシカに角で持ち上げられちゃってよ。ぶん投げられちゃったの。そんで犬はキャンキャン、キャンキャン泣いて。こりゃやられちゃったと思って見てたら、犬は尾っぽぐっと巻いてよ。おっかなくなって、私の後ろに隠れてちまったんだ。そしたら、今度は私をめがけてカモシカがかかって来たんだよ。危ないからひとまず家内を桜の木の中に入れてよ。そうすれば大丈夫だから。3本だか4本株立ちのがあったっけの。「ここに入ってろな」って言って。
仕方ねぇから、カモシカと戦うことにしたべした。近くにあった、長さ50㎝くらいの太い棒を振りかざして、バキャーンとカモシカをぶっ叩いたんだけどよ。棒がおしょれたっけの。そんでもよ、ばーっと逃げていくけど。いつのこまにか音もなく忍んで来んだぜ。今思えば子がいたのかもしんねぇ。うんと気強くてよ。またカモシカが向かってきたっけのよ。しょうがないから、おっきな石持って、腹んとこにどば~っとぶつけてやったけど、全然。微動だにしないんだから。しばらくして諦めたのか走り去って行ったの。いやぁ~おっかなかった。うちの家内なんて、ストレスで胃痙攣を起こしてしちまって医者に連れて行ったんだから。

ミロコマチコ(画家、絵本作家)

「カモシカのはなし」
創作:ミロコマチコ

すっかり暖かくなって虫がたくさん騒ぐ季節になった。
ぼくは虫を追いかけて遊ぶのを楽しみにしていたから暖かい季節がすきだった。お母さんの側にさえいれば、虫と騒いでいても怒られなかった。
だけどある日、とても高く飛べる虫がいて夢中で追いかけて走りすぎた。
はっと気付くとお母さんがいない。急に不安になった。近くでガサガサと音がしたのでお母さんだと思って安心したら、ちがった。ボクは凍り付いてしまった。それは1匹の犬と人間ふたりだった。「どうしよう、動けない」と思っていると大きな影がとんできて、犬がぶわっと空中にほうり出された。激しくキャンキャン泣き叫ぶ犬。お母さんだった。
人間は大きな木でなぐりかかってきた。お母さんのお腹に石をぶつけたりもした。人間たちがひるんだ隙にぼくたちは逃げた。あとでお母さんのお腹をみたらうっすら血がにじんでいた。「全然平気」というお母さんは優しくて、ぼくは悲しくて、それから暖かい季節がくる度に切ない気持ちになった。

ミロコマチコ(画家、絵本作家)

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4. 「山形ビエンナーレ2016」にむけて制作中。立体絵本とは?

4. 「山形ビエンナーレ2016」にむけて制作中。立体絵本とは?

「ミロコマチコの野生動物のはなし」の立体絵本は、2016年9月に山形市で開催する「みちのおくの芸術祭 山形ビエンナーレ2016」で展示・発表します。このイメージスケッチのように、クマ、カモシカ、うさぎ、ヘビ、コウモリ、とりたちの6種類の動物が、およそ4メートルの馬車のような立体絵本になって街を練り歩き、人と獣の物語を人々に伝えていきます。

ミロコマチコ(画家、絵本作家)

イメージスケッチ(「クマ車」)

ミロコマチコ(画家、絵本作家)

「クマ車」の検討用模型(写真提供:有限会社ブレーメン)

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5.スタッフからのお知らせ

5.スタッフからのお知らせ